2019年9月14日、Teal Journey Campus(以下TJC)というイベントが開催された。参加人数はオフライン・オンライン合わせて500人程度。
イベント当日、僕はカメラのファインダー越しにいろんな人の顔を覗き見ていた。そんな参加者の表情からはエネルギーが満ち溢れていた。イベント終了後のFBグループの勢いもすごくて、参加してくれていた人々が日本各地で自主的にコミュニティを作り、振り返りの場を開いたり、次に向けた場を企画している人もいた。1つの場が参加してくれた多くの人に種を残していったのだ。
冒頭でカメラのことを紹介したからカメラマンの仕事をしているのかと思われるかもしれないけどそうではない。僕はTJCでデザイン面を担当した。そして今回のブログはその振り返りである。
ただ何を書けるのだろうか…良いことを…みんなのためになるカッコいい何かを書かなくては…そんなことを考えていたらTJC終了から1ヶ月近くも経ってしまった。このままズルズル引き伸ばしてしまうと年末を通り越して2020年に突入してしまう。要点をまとめず、つらつら日記のような形で思い出せる限り書いていこうと思い、ようやく重いキーボードを打ち始めた。この思い出日記に誰が何を期待しているのかさっぱりわからない。誰かの参考になるのかも分からない。ただつらつらと書くのみである。基本オチはつけたい派なのだけど今回はオチはない。
それでは長くなりましたが振り返りしてみたいと思う。
2019.5.26 式中に後ろから肩を叩かれる
仕事仲間の結婚式で気分良くパシャパシャと晴れ姿を撮影をしていたところ、後ろから肩を叩かれた。後ろを振り返るとお世話になっているNPOの代表嘉村さんが…式前に挨拶は済ませているので(恥ずかしがり屋の)嘉村さんから雑談を持ちかけることはないと思われる。今までのパターンから察するに(過去に何度か×3同じようなことがあったことを走馬灯のように思い出した)、おそらく何か仕事の依頼ではないだろうか…。
嘉「今回のイベント手伝ってほしいんだよね」
坂「あ、はい、わかりました、何したら良いんですか?」
嘉「また世話人メンバーの子をつなぐよ」
坂「あ、はい?、わかりました?」
そんな淡々とした会話が阿吽のごとくなされてTJCのイベントの計画に参加することになった。(しかし、要件のみ話が進んだものの肝心の「じゃあ次どうしたら良い?」が中々話が進まず、気がついたら2週間ほど経っていた。これもまたお約束である。)
2019.6.14 迷いとワクワクの入り混じったスタート
肩を叩かれてから2週間。何度か嘉村さんに催促して、ようやく世話人(実行委員会的な人たち)の制作チームとの打ち合わせがオンラインで始まった(ちなみにTJCの開催は東京の東工大。メンバーは僕以外は(おそらく)関東住み。本当は対面が良かったけれども自分が関西在のためやむなし)。メンバーは英治出版の下田さん(書籍「ティール組織」の編集者)と蓮池さん(自分がジョイン前までTJCの制作物を作成してくれていた方)。ようやく状況を把握ができて前に進められるワクワク感と、まだ仕事を一緒にしたことがないパートナーとの関係に少しだけ不安感がありながらのスタートだったように思う。
―制作チームに求められている当面の役割を洗い出し
まずは制作チームに求められている当面の役割を洗い出し、その洗い出した役割を誰がどのように担うのか、そして今思っている不安や気になることを共有した(自分の話した不安は後述 *1)。また、本イベントでの動き方でいちばん大事な部分を共有し合った。それは世話人同士の動きは誰かがリーダーシップをとるのではなく、ティール的に運営してみたいというもの。ティール的とは自分の理解だけれども、誰かがリーダーシップを発揮して指示命令をするのではなく、そこにいる集団が各々自分の存在目的を大事にしつつも、集団としての存在目的を目指しながら、自分が担いたい役割を全うするために行動していくという風な認識)というもの。ただし、ティール的に運営するというあり方も具体的にプロセスが決まっているわけではないので、ぶつかりながら実験しながら進めていくのだろうなと感じた。(*2)
※1 自分の話した不安は制作期間の短さ。当初提示されたスケジュールが非常に短かったた。ただ状況確認しているうちに、スケジュールを決めて、手を動かす役割の人がいなかったため、スケジュールも曖昧になっていたことがわかった。そこで再度優先順位を整理して、デッドラインを設定し直した。それでも他作業も並行して行っていたので、もう少し時間が欲しかったけれども、時期も迫っていたので仕方ない。
※2 今回のイベントで自分がティール的に動けたのかどうかは少し(?)を感じている。そもそも自分自身のパーパスをそこまで言語していなかったり(イベント参加後に少し見えてきた部分があるけれども)、恥ずかしがり屋な性分故にホールネスを体現できている感覚がなかったり(恥ずかしがり屋だから体現できないとかそういう話ではないと思うけども)。また、「ティール的に運営する」という言葉もいろんな捉え方がある。本イベントのラルー氏の言葉を借りれば「ティール的に運営する」とは「コンセプト」であるため、それ自体が言葉として機能しているかどうかは、なんとも言えないところ。コンセプトは自体は方向性であり、自分たちの行動や思考を具体的に定義するものではない。自分の忙しさと世話人メンバーとの対話不足故に、僕の中でそれがきちんとコンセプトから実感値に消化されていく時間を待ちにくかったのが反省なのだと感じている。このブログは「TJC世話人を代表するわけではない」ということは前提として共有したい。色々ネガティブな印象に書き連ねた感覚も覚えるが、自分としては精一杯自分の役割を全うしたという感覚を持っていて、とても満足している。
2019.6.17~制作編(前編)
まずはビジュアルデザインの制作のためのヒアリングを行った。当初、日本で発売された「ティール組織」の書籍の様なデザインをベースにしたほうが良いかという思いも少しあった(権威的で高尚さがあると同時に、個性的でほんのり溶けるような優しさを感じさせるデザインではあると個人的に感じている)。けれども、今回のイベントには垣根を作らず、ビジネスマンでも、お子さん連れた親御さんでも学び合いたい人なら誰でも来てほしい、ウェルカムなイベントにしたいという方向で進んでいるという話を聞き、書籍のティール組織とはがらっとイメージが変わると感じた。また本イベント会場は東工大という権威ある学び場であるけれども、権威的かつ高尚な感じではなく、なるべくフラットで色んなものを受け入れるイメージになっていくのが良いのではないかという感覚を覚えた。
―どんなビジュアルデザインにしていこうか
ここからはヒアリングから思い浮かんだキーワードをざっくり書き出していく(この辺りはよくあるデザインの制作フローではないかと思うのであまり面白みはないかもしれない)。
・フラット
・共に学ぶ
・興味のある人なら誰でもウェルカム
・優しい
・権威的でない
・ジャーニー
・ティールなどなど
ただし、これだけではまだ具体的なビジュアルになりにくい。
もう少しキーワードから派生して
・座組で学ぶ
・植物や生命
・多種多様な人
・海
・航海などなど
これらのキーワードが自分の中に生まれてきた。そしてそれを統合した時に生まれたイメージがコチラ。
言葉にすると
「ティールという、まだ近くにあるのか、遠くにあるのかも分からない概念をめぐる航海(実際に実践すること)に出る前の、学び合いの場のひととき」?(ちょっと説明的か)
出来上がったイラストをもとにメインで使用するビジュアルデザインを作成し提案、そのデザイン自体を世話人内で共有、アドバイスプロセスや感想共有してもらい、微調整していったものがTJC当日イベントのビジュアルデザインの軸となっていった。
2019.7.11~制作編(後編)
依頼されていた申し込みサイトとLPサイトがローンチし、ほっと一息つく。その後の世話人内でのテーマはイベント会場のデザインに移る(その時点で開催1ヶ月前にさしかかりつつあった)。しかし、会場設営デザインの担当がまだ決まっていなかったのだ。自分は遠方にいるため気軽に手を挙げることができず(そもそもちょっとした空間デザイン程度しかやってことがないので経験値的にも適してはいない)、世話人内でも人探しに奔走していた。
そんな中で自分にある変化が起こっていた。頼まれ作業からのスタートであったが、世話人の行動や想いに伴走していく中で「イベントのデザインをやりきり、世話人の目指している世界のあり方を構築していきたい」という欲求が生まれてきた。その感情を世話人内で共有し、会場デザインを行う役割を担うことになった。結局諸事情があり自分の会場案とは全く違うものになったけど(後述)。
この辺りから自分の中で外部パートナーから世話人メンバーになったという感覚に変わっていったのを覚えている。
―決断とその後(おそらく時系列)
決断してからの日々はとても早くて、いろんなことが決まったりひっくり返ったり、突如手を差し伸べてくれる人がいたりと非常に目まぐるしい日々が続いた。それを全部紹介するのも要点がまとまらないのでサラッと箇条書きで書いていきたい。
・お盆前に東京に行き会場を見学、初めて世話人の何人かと対面で挨拶(ようやくお会いできて嬉しかった)。
・同日 会場の下見を元に会場デザインのコンセプト案を考えて世話人内で共有。
・会場デザイン以外のデザイン作業が増えてきたため英治出版の高野さんとデザインチームを組むことに。
・施工してくれる人と打ち合わせするも、その案だと予算的に合わないと辞退される(お盆の終わったあたり。流石にやばい日程的に焦りを感じる。)
・会場デザイン案では大量の植物を置く案もあったのだけれども、一日限りのイベントで多量の植物という名前の生命を使用するのは少し違うかもと思い始めていた。そんな中で生け花の構成方法という視点からティールを表現するという提案をいただく。当日その案が使用されることに(→詳細はコチラ)。
・イベント2週間前という直前に舞台施工をしてくれる方が見つかった!探し回ってくれた下田さんとつないでくれた藤井さんありがとう。
・会場デザインの打ち合わせ!会場コンセプトの案を伝えつつも、舞台施工チームがやりやすいように自分の役割を手放す。
・9月に入り会場以外のデザイン作業と入稿に没頭…没頭…そしてなんとか期限内に納品。自分の役割を終えてやっと一息つく。
2019.9.14 当日を迎える
当日の話はもうデザイナーとしてではなく、一スタッフとして一参加者として参加していた。初めて見る人、懐かしい人が日本各地から集まってた。
そして僕はいつものようにカメラを構えていた。
あとがき
本企画はジャーニーという名前を冠している。TJCから始まったティールへの旅路は、参加者だけではなく企画者側も共に参加したものとなった。旅とは初めての経験、初めての出会いが沢山ある。本企画でもまた「ティール的に運営すること」「慣れた人とではなく初めてのメンバーと運営すること」などなど初めての出来事がいくつかあった。
企画を構成していく中でもっと知っている人同士で作業したほうがスムーズなのではと考えることもあったし、思うように進まないこともあったけれども、それよりも大事なのは、ただただ進めることだけではなく、1つのパーパスを共に探求する意思や立場なのだと思う。知っている仲間同士では察したり、時には甘えてしまうこともあるかもしれない(甘えは悪いことではないけど想像で察し合うというのは違う気がする)。今回知らない者同士が集合し、目指す方向を共有し、理解し合い、知らないからこそ時にはぶつかり合いながら進んでいくことでより深まっていくそのプロセスに今回のティールを探求する旅の意味があったのではないかと思う。知らない者同士だったからこそできた世界が合ったように感じている。
また本企画を進める上で僕が一番素晴らしいなと感じていたと同時に気がかりであったのは、手足を動かす世話人を信頼して、ぐっと任せてつつ、企画全体を見渡しながら何が足りていて何が足りていないか、足りるようにするためにどうしたら良いかを最後まで気を抜かず行動して考え抜いてくれていた英治出版の下田さんの在り方だった(接点が濃かった下田さんに必然的にフォーカスが当たるのだけど)。ただ、このやり方はスケジュール通りにいかないこともあったり、コントロールがきかったりで、日を追うにごとに下田さんの業務量が増えていったようにも感じていた。
イベント終了後、下田さんの奥さんと話す機会があったのだけど、寝言でもイベントのことを心配していたとか。僕は8月頃から世話人として本格的に参加した感覚を持っているのだけれど、その本格的に参加しようと思った1つの理由に下田さんを支えたいという思いが無きにしもあらずで、それはそれで良い原動力ではあったのだけども、誰かに集中する構図になるのは持続的ではないのも事実で、それは事前にどうにかならないのかなぁと少しモヤモヤしている。どうしたものか。そこに結論はまだない。
最後に今回3ヶ月でやったtodo一覧
WEB
・TJC peatixサイトデザイン(自前PCで更新するとデータが消えるという惨事に見舞われ更新は下田さんに依頼)
・TJC LPページデザイン
・TJCを当日楽しむためのオンラインしおりデザイン
・TJC FBとTWのSNSカバー写真とアイコンデザイン
印刷
・TJCのぼりデザイン
・TJCトートバッグデザイン(トートバッグづくりは初めてなので生地の厚みや現物の下見をしに行った)
・TJCランチチケットデザイン
・TJC参加者用ネームカードデザイン
その他
・LPページ作成のためのCMS調査(使用したことがないCMSの仕様調査…これが時間がかかった)
・TJCメインイラストの作成(adobe sketchで作成、質感が面白い)
・TJCパワーポイントのスライドマスターデザイン(pptなんて久しぶりに触る、少し詳しくなる)
・会場デザイン案(コンセプトベース止まり)
協同制作
・TJCロゴ微調整(メインでの制作は世話人の蓮池さん)
・TJC缶バッチデザイン(缶バッチ自体の制作は世話人の木村さん)
・TJCサポーター用シール(印刷は制作は世話人の桐林さん)
・英治出版の書籍販促ポップデザイン(印刷は英治出版)
・TJC当日講座案内バナーデザイン(印刷は英治出版)
最初の1ヶ月見えていたtodoは
・TJC peatixサイトデザイン
・TJC LPページデザイン
・LPページ作成のためのCMS調査
の3点のみでした。それがまさか3ヶ月でこれだけ膨らむとは思わず、日を増すにつれ増えていくtodoに少し気後れしながらなんとか走りきりました。もう走ることに精一杯で協同してくれた高野さんに少しご迷惑をかけてしまった感があり、それは自分にとっての伸びしろだなと思っています。
遅筆かつ、普段これだけの文章量を書かないので、ようやくブログを書くことに終わりが見えたことが心より嬉しい。お付き合いいただきありがとうございました。
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